たなか亜希夫氏の新刊が出たので、勇んで買いました。
「リバース エッジ 大川端探偵社」
作・ひじかた憂峰 画・たなか亜希夫
多分(笑)、主人公の村木。結構似た。
たなか亜希夫さんの絵は、画質が似ているせいか、すごく描きやすい。
たなか亜希夫氏は、すごく好きな作家なんだけど、単行本を買ったのは割と最近の「Glaucos(グロコス)」「かぶく者」から。あの名作「軍鶏」を持っていないという、なんともおまぬけな所。
ところで、「大川端探偵社」の原作は、ひじかた憂峰とありますが、この方の別名は、これまた私の大好きな作家「狩撫麻礼」氏。
私は、筋金入りの劇画好き。
高校生の頃、周囲の女の子たちが、アイドルやトレンディドラマを追っかけていたのに、私ときたら、「時代屋の女房」「居酒屋兆治」の世界観にあこがれて、やたら村松友視的な、ジャズも知らないのに、ジャジーなものを追っかけていました。
まさに「あんた背中がすすけてるぜ(by.哭きの竜)」みたいな、「セピア」じゃなくて「黒か濃い灰色に近い焦げ茶」くさい、すすけた世界にあこがれを抱いた、どっぷり裏世界的なワールドを描きたい、という願望バリバリの枯れた女子高生でした。
更に、当時一番強く影響を受けた漫画は、なんと言っても「弐十手物語(作・小池一夫 画・神江里見)」。渋っっ!!
弐十手を愛読(いやもう熟読の域)している女子高生は、世界広しと言えど、私くらいなもんだったでしょう(笑)。
つまり、劇画を描く素地は、高校生の頃に固まったワケです(でも本当に面白かったのは、45巻くらいまでだったな…)。
その反面、「花とゆめ」も大好きで、逢坂みえこや吉野朔実も大好きでしたわ。そのあとは、榛野なな恵にどっぷりハマリまくりだし。おとめ~。
で、その頃出会ったもう一つのジャジーな世界が、狩撫麻礼氏の作品「エイント・チャウ(画・弘兼憲史)」。
本は、もう手元に無いんですが、これがどーにもいかんくらい暗くて(笑)、でもどーにもいかんくらい泣ける作品でした。それがたまらんくらいツボでした。
新宿ゴールデン街を初めて知ったのも、この作品から。
初期の弘兼憲史作品も、私にはすんごいツボで、今改めて大人買いしたいくらい(今の島○作はちょっと…)。
つまり、狩撫麻礼氏との出会いは、私の中の劇画誌と比例するものでして、あのジャジー感は、今でも私の素地の中に息づいています(笑)。
今回の「大川端探偵社」は、週刊ゴラクに不定期連載されています。
さて、この「大川端」ですが、正直ちょっとモノ足んない。
多分、主人公(かな?)である村木、または所長のバックボーンが、何にも描かれていないせいだと思います。
ちょっとがっかり。
どっちかというと、端役の事務員のメグミちゃんが、一番キャラが立ってる(汗)。
あと、たなか亜希夫氏の描く、漫画のコマの「タメ」の悪さが、微妙なのかな~、と思ったり。「かぶく者」を読んだ時も不満に思っていたけど、このヘンなタメの悪さが、ちょっと心地悪い。多分、クセだと思うので、これはどうしようも無いんだろうけど…。残念(ああ、大先輩に対して、なんて口の利き方!!)。
ただ、1話1話のネタは、さすがというか、大好きな「黒か濃い灰色に近い焦げ茶」くさい世界満載(笑)ですので、続刊も買いますよ。
ああ、狩撫さんの原作で漫画描きたいっっ!!
ちなみに、20年前くらいの、ジャジーな劇画については、あたくしいくらでも語れますわ。おほほ。
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